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相続放棄

1 はじめに

相続放棄という言葉を聞いたことがあるという人は多いと思います。ただ、「単に被相続人の債務をチャラにするものだから、債務があれば相続放棄をすればいいんでしょ。」と思っている人もいるかもしれません。

今回は相続放棄の基本的なことをおさらいしていきましょう。

 

2 相続放棄とは

相続放棄とは、相続開始によりいちおう生じた相続の効果を全面的・確定的に消滅させる行為をいいます。相続放棄をした人は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとなり(民法939条)、1度も相続財産を取得しなかったことになります。

 

3 相続放棄の要件

相続放棄は、家庭裁判所に申述する方法によって行います(民法938条)。申述先の家庭裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所となります。

気を付けていただきたいのが、相続放棄の申述は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内」(熟慮期間)にしなければならない点です。なので、相続放棄をせずにそのまま放置していた場合、熟慮期間が経過したことにより相続放棄ができない可能性があります。

もっとも、最高裁二小判決(昭和59年4月27日民集第38巻6号698頁)では、「被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において右のように信ずるについて相当な理由があると認められるときには、相続人が前記の各事実を知った時から熟慮期間を起算すべきであるとすることは相当でないものというべきであり、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべきものと解するのが相当である。」としました。そのため、相続開始時から3か月が経過していても、熟慮期間を後ろ倒しできないか注意深く確認する必要があります。

相続財産について調査が必要であり3か月以内に相続放棄するか否か決められない場合、熟慮期間の伸長の申立て(民法915条1項但書)を検討しましょう。

なお、熟慮期間内に相続財産の全部または一部の処分(保存行為を除く)をした場合には、単純承認したものとみなされ(民法921条1号)、相続放棄ができなくなる点に注意してください。

 

4 相続放棄の効果

相続放棄をした者は初めから相続人でなかったものとみなされます。そのため、相続債務に関する義務を負わないことになります。当然、遺産に関する権利もありません。相続放棄は代襲原因ではないので(民法887条2項)、相続放棄をした者の子がその相続に関し代襲相続できません。

相続放棄をすれば相続人ではなくなるので、他の相続人の相続分や範囲に変動が生じることもあります。

ただし、相続放棄をした後に相続財産の全部もしくは一部を隠匿したり、私にこれを消費したり悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったときには相続放棄が無効となり単純承認したことになります(民法921条3号)。

 

5 相続放棄後の管理

相続放棄をすればあとは知らんぷりということでもありません。相続放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産における同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければなりません(民法940条1項)。これによって報告義務や受取り物の引渡し・移転義務も負うことになります(民法940条2項参照)。

最終的には相続財産管理人の申立ても検討する必要があるかもしれません。

 

6 相続放棄申述の手続き

相続放棄を申述するためには、単に申述するだけでは足りず、費用や添付資料も必要になります。添付資料については相続関係によって異なってきますので、裁判所のウェブサイトを確認するとよいです。添付資料が膨大になることもありますし、そもそも何を収集すればよいのか分からない場合もあると思います。その場合には専門家に相談されるとよいでしょう。

 

7 まとめ

相続放棄といっても要件から効果までいろいろなことを知らないと大きな失敗につながる可能性もあります。相続放棄の有無は、財産的に大きな影響を与えますので、しっかり正確に行なわなければなりません。また、短期間の間に相続放棄手続きを取らなければならないため、迅速性も要求されます。きちんと相続放棄できるように心がけましょう。