相続コラム
私道の評価
1.私道とは
道の大半は国や都道府県、市町村が所有している公道ですが、中には民間の所有となっているものもあり、これを私道と言います。私道についての相続税の評価を行う場合には、その私道の使われ方によって異なった評価方法を取ることになります。
私道の使われ方には、その私道が「不特定多数の人の通行のために利用されている場合」、「複数の特定の人の通行のために利用されている場合」、「ある特定の家の通行専用として利用されている場合」になります。
2.不特定多数の人の通行のための私道の評価
1つ目の区分は、私道のうち、不特定多数の人の通行のために利用されている私道、一般的には道路と道路をつなぐ通路のようなものを指します。また、宅地の角の部分が隅切りされている場合のその隅切り部分も該当します。さらに、行き止まりの私道であるものの、その私道を通行することで不特定多数者が地域等の集会所、地域センター及び公園などの公共施設や商店街等に出入りしている場合などにおけるその私道も該当します。加えて、私道の一部に公共バスの停留所が設置されており、不特定多数の者が利用している場合も該当します。道路の幅員の大きさは問題となりません。
この部分については、相続税評価額は0円として評価します。
3.複数の特定の人の通行のための私道の評価
二つ目は、私道のうち、複数の特定の人の通行のために利用されている私道、一般的には袋小路になっているようなものを指します。この部分については、まずその私道を宅地として評価します。なので例えば形が歪であった場合には不整形地補正などで相続税評価額の減額も行います。こうして算定した評価額に30%を掛けて計算した金額が、その私道の評価額となります。
なお、袋小路になっている部分を周辺の複数の地主で分割して持ち合っている場合には、他人所有分も含めて1つの私道として評価した上で、所有している分の地積で按分計算して評価額を算定することになります。
4.ある特定の家の通行専用として利用されている私道の評価
3つ目の区分としては、一般的にはある特定の家への専用通路となっているようなものを指します。この部分については、私道として扱うことなく、その家の宅地部分も含めて1つの宅地として評価することとなります。
5.固定資産税評価と相続税評価の相違点
私道についての相続税における評価の取り扱いは上述の通りです。一方で固定資産税については、市町村によって多少異なりますが、一定以上の幅員の私道については非課税とされる措置があります。つまり、固定資産税評価がついておらず、固定資産税の課税明細書には記載がされていないものであっても、相続税の計算においては評価額をつける必要がある場合があります。そのため、固定資産税の課税明細のみをもって所有している土地のすべてを網羅していると思わず、名寄帳などによって所有している土地を把握しておかないと、思わぬところで評価漏れや、遺産分割協議書等への記載漏れが発生してしまう可能性があります。
特に遺産分割協議書への記載漏れについては、当然のことながら相続登記漏れへとつながっていきます。そうなると次の世代やさらにその先の世代に面倒な手続きをさせることになってしまいますので、注意が必要です。