相続コラム
遺言によってできること,できないこと
1 はじめに
遺言に何を記載するのかを考えるときには,どのような文言で表現すべきなのかということの他に,「この記載によって実際にどのような効果が発生するのか」というところまで考慮する必要があります。
遺言は単独行為であるため,遺言者の一方的な意思によって内容を決めることができます。しかし,遺言の内容がどのようなものでも法的な効果が生じてしまうとなると,その効果を他人に押し付けることになりかねません。そこで,法律で遺言できる事項(遺言事項)を定め,遺言事項に関することのみに法的な効果が生じるようになりました。
2 遺言事項
有名な遺言事項としては,法定相続に関する事項やそれ以外の財産処分に関する事項があります。相続分の指定や遺贈がこれらに当たります。また,家族に関する事項や遺言執行に関する事項も遺言事項とされています。
また,遺言者は,遺贈をするにあたり条件もしくは期限付きで遺言をすることができます。例えば,「私が死んで1年後にAに〇を遺贈する」というものです。他にも,遺言により負担付遺贈(Aを扶養する代わりに等)をすることもできます。もちろん,遺言の内容によっては必ずしも直ちに条件等の付款が有効になるわけではないものもあるので,内容を十分に検討する必要があります。
3 付言事項
法定された遺言事項ではなく法的な効果は生じなくても,遺言者の意思を込めた文言を載せることもできます。そのような,法的に効果がない事項を付言事項といいます。直接的な効果がなかったとしても付言事項が遺言の解釈につながることもありますし,別の紛争の予防にもつながることもあります。
4 まとめ
遺言によってできること,できないことというタイトルを設定しましたが,基本的には遺言に何を書いてもよいと個人的には思っています。遺言に書いた内容について法的な意味があるのかないのかという意味で,遺言によってできること(法的拘束力がある),できないこと(法的拘束力がない)と表示したほうが分かりやすいかなと思いました。
遺言は遺言者の最終的な意思表示です。悔いのない遺言内容にしたいですね。