相続コラム
農地・山林の土地の評価
1.農地・山林について
相続税の評価を行う場合において、農地や山林は、宅地とは違った評価方法を取ることになります。また、その土地の所在する場所によって、農地は純農地・中間農地・市街地周辺農地・市街地農地に、山林は純山林・中間山林・市街地山林に分けられます。そしてこれらの区分によって、その評価方法も変わってきます。
市街地から遠く離れた場所に所在して、土地の財産評価において宅地の影響をほとんど受けない農地や山林のことを「純農地」や「純山林」と言います。一方で市街地に所在して、土地の財産評価において宅地の影響を受ける農地や山林のことを「市街地農地」や「市街地山林」と言います。市街地農地ほど市街地の中に所在してはいないが、市街地の周辺に所在する農地のことを「市街地周辺農地」といいます。最後に、農地における純農地と市街地周辺農地を「中間農地」、山林における純山林と市街地山林の中間の農地や山林のことを「中間山林」と言います。
2.農地の評価方法
農地のうち、純農地と中間農地については、固定資産税評価額に国が定めた倍率を掛け算して算出する倍率方式によって評価します。国が定めた倍率は地域ごとに異なっており、国税庁ウェブサイトの評価倍率表で見ることができます。
一方で市街地農地については、その農地が宅地であるとした場合の1㎡あたりの価額から、その農地を宅地に変更するために必要な宅地造成費を差し引いた金額に、その農地の面積を掛け算して評価を行います。なお、市街地農地でもその所在する場所によっては、純農地や中間農地のような倍率方式で評価する場合もあります。
最後に市街地周辺農地ですが、こちらは上述の市街地農地として評価した価額の8割を評価額とします。
3.山林の評価方法
山林のうち、純山林と中間山林については、固定資産税評価額に国が定めた倍率を掛け算して算出する倍率方式によって評価します。国が定めた倍率は地域ごとに異なっており、国税庁ウェブサイトの評価倍率表で見ることができます。
一方で市街地山林については、その山林が宅地であるとした場合の1㎡あたりの価額から、その山林を宅地に変更するために必要な宅地造成費を差し引いた金額に、その山林の面積を掛け算して評価を行います。なお、市街地山林でもその所在する場所によっては、純山林や中間山林のような倍率方式で評価する場合もあります。
4.相続における納税猶予の特例
農地・山林を相続した場合の納税猶予の特例では、農地・山林を相続して農業・林業を継続する場合に、一定の要件のもとで相続税の一部の納税が猶予されます。
この制度は、相続税を納めるために農地や山林を処分することになれば、相続人が農業や林業を続けられなくなり、ひいては農業や林業の衰退を招くことになるため、そのような事態を防ぐことを目的としています。