京都の相続対策に強い弁護士・法律事務所

  • 初回30分相談無料
  • 075-257-2520受付時間 9:00~20:00
  • 受付時間外でも予約で相談可
  • お問い合わせ

相続コラム

生命保険と特別受益

1 はじめに

被相続人が生命保険金の受取人として相続人を指定した場合であっても、生命保険金請求権は相続財産には含まれません。一方で、この生命保険金請求権が特別受益に当たるかどうかについては、少々複雑な問題があります。今回はこの問題についてお話します。

 

2 生命保険は特別受益になるのか

特別受益制度の趣旨は、被相続人が財産を前渡しすることによる相続人間の不公正を是正することです。生命保険金は遺贈や贈与とは言えませんが、共同相続人が相続の開始によって生命保険金請求権を取得することは、実質的に相続人間の公平を害します。

そこで、「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生じる不公平」が「903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情」があるときは、「同条の類推適用により、当該保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象」になります(最決平成161029日民集5871979頁)。

 

3 特別受益になるとすればその金額はいくらか

 生命保険金が特別受益に当たる場合、その金額の算定方法については、被相続人が実際に支払った金額(掛け金)なのか、相続人が実際に受け取った金額なのかの争いがあり(他にも算定方法がいくつかあります。)、一般的な基準は存在しないのが現状です。

 

4 持戻しの免除の意思の有無

 特別受益の金額が確定したとしても、被相続人は、持戻しを免除することができます(9033項)。被相続人が生命保険金の受取人の指定という形で自己の財産を相続人に与えたのだから、仮に特別受益に当たるとしても、その持戻しを免除する黙示の意思表示があるといえなくもありません。事案によっては持戻免除の意思表示が認められる可能性があります。

 

5 まとめ

判例によれば、「特段の事情」があるかどうかは、「保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断すべきである」とされています。この基準は必ずしも明確とは言えず、事案によって評価が分かれます。

生命保険金の受取人の指定が、特別受益となるのか、持戻免除の意思があるのか、仮にこれに準じて持ち戻す場合でも、どのくらいの額が持戻しの対象となるのかについては、弁護士に相談することをお勧めします。