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相続コラム

遺産分割協議書とは

3 はじめに

遺産分割協議は口頭による合意でも行うことが可能であり,法的効果を発生させるために書面など何らかの要式行為が必要というものではありません。しかし,あとで協議の内容をめぐって紛争の蒸し返しになることを防止したり,遺産分割協議の内容について第三者に相続人全員で話し合ったという証明をしたりするためには,遺産分割協議を書面に残す必要があります。
今回は,遺産分割協議書についてお話しします。

2 遺産分割協議書作成のポイント

遺産分割協議書の必要性は,さきほど述べたように「紛争の予防」のためと「第三者への協議内容証明」のためにあります。この2つの観点から,具体的にどのようなところに気を付けるべきかポイントをまとめました。

①  誰がどの遺産をどのくらい取得するのかを明確にする

いきなりちょっと難しいポイントかもしれません。
誰がどの遺産を取得するかについては明確に記載すべきですし,預貯金を具体的にしっかり分けるのであればその受け取るべき金額も記載したほうがよいでしょう。
ただし,特定の人が全ての財産を取得する場合には,単に全ての財産を取得すると記載すれば足ります。要するに,誰がどの財産をもらうのかが分かれば十分だということです。
また,気を付けなければならないのは,金融機関の預貯金を具体的に記載してそれを分けるということをしてしまうと,実際に金融機関に行って手続きをした際に,利息が付いていたために協議書記載の預貯金額と実際の預金額に1円のズレが生じてしまうということもあり得ることです。
なので,あまりに抽象的な文言では困りますが,具体的に記載しなくても良い場合もあります。細かな不明点については第三者たる金融機関等に確認するのが確実ですね。最終的に遺産分割協議書以外にも所定の要式による相続人全員の署名捺印が求められる可能性もありますからね。

②  把握していない相続財産についても記載しておく

相続財産について,数年後に遺産が発見されたり,債権が見つかって債権者から請求されたりすることがあります。このような場合を想定して,把握していない相続財産(債務)が見つかった場合には,誰がどのように財産取得をしたり対応をしたりするのかを決めておくとよいでしょう。

③  相続人情報については正確に記載し,捺印は実印で

相続人が普段書類等に記載している現住所と住民票上に登録されている住所が異なっている場合があります。そのため,金融機関などから印鑑証明書の提出や実印による捺印を求められた際に印鑑証明書や住民票と異なる地番などを記載していると,金融機関の手続きがスムーズに進まなくなる可能性があります。
不動産がある場合も同様です。法務局に相続を原因とする所有権移転登記手続をする際には,正確な住所を登記に反映させる必要があるため,ズレがあれば法務局の登記官などから指摘されます。

④  相続人分作成し,2頁以上になれば契印をする

各相続人がそれぞれどのような遺産分割協議に合意したか分かるように,相続人全員分の遺産分割協議書を作成してください。また,遺産分割協議書が2頁以上になる場合,差替防止のために頁と頁の間に契印を押しましょう

⑤ 公正証書による作成も検討する

相続人全員が公証役場に集まれるのであれば,証明力の高くなる公正証書による遺産分割協議書も検討しましょう。

3 まとめ

遺産分割協議には,複数の相続人のそれぞれの思いや様々な遺産があります。特殊なケースの場合には記載方法が難しいかもしれません。第三者が見ても内容が明確に書かれており,当事者間でも争いのないような遺産分割協議書の作成を心がけましょう。