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相続コラム

遺留分減殺請求とは

1 はじめに

個人は、自己の財産を自由に処分することができます。被相続人も、遺言によって自己の財産を自由に処分できます。他方で、残された相続人の生活を保障することも相続の重要な機能の一つです。

そこで、相続人には、法律によって一定の割合の財産を取得する権利が与えられています。

相続財産のうち一定割合で相続人に留保されている利益のことを「遺留分」と言い、これが侵害されている場合に、それを自己に引き渡すよう請求できる権利のことを「遺留分減殺請求権」と言います。

 

2 誰が請求できるのか

遺留分減殺請求は、「遺留分権利者」が行うことができます。この「遺留分権利者」とは、遺留分を有する相続人のことをいいます。

相続が開始した場合に基本的に相続人となるのは、配偶者(民法890条)、被相続人の子(887条1項)、胎児(886条1項)です。また、場合によって相続人になりうるのは、被相続人の父母(889条1項1号)、被相続人の兄弟姉妹(889条1項2号)。相続人の子(887条2項)です。

このうち、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分が認められます(民法1028条参照)。

つまり、兄弟姉妹以外の相続人が「遺留分権者」です。相続人の全員に遺留分が認められるわけではないので注意が必要です。

相続人の欠格事由(民法891条各号)に当たる場合、廃除された者(同法892条、893条)、相続放棄をした者(同法939条)は相続人ではなくなるので、遺留分権利者ではありません。

 

3 遺留分の算定方法

遺留分の算出は、遺留分の基礎となる財産の算出、遺留分権利者全体が有する割合、個々の遺留分権利者が有する割合という順番で行います。

 

まずは、遺留分の基礎となる財産の額(民法1029条1項。改正後は1043条1項となり,内容は同じですが分かりやすくなっています。)を算定します。計算式は以下の通りです。

 

(基礎となる財産)=(相続開始時の財産)+(被相続人が贈与した財産)-(被相続人の債務)

 

 

 

 

 

次に遺留分権利者全体が有する割合を算定します。これは、直系尊属のみが相続人である場合とそうでない場合で異なります。

 

     直系尊属のみが相続人である場合(民法10281号。改正後は104211号)…3分の1

 

 

 

 

 

 

     それ以外の場合(民法10282号。改正後は104212号)…2分の1

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に、個々の遺留分権利者が有する割合を算定します(改正民法1042条2項,900条,901条)。これは相続人の構成によってそれぞれ割合が異なります。遺留分となる財産は、相続人の構成によって以下のように割り振られます。

 

相続人の構成 各権利者の遺留分割合
配偶者のみ 配偶者に2分の1
子のみ 子に2分の1
父母のみ 父母にそれぞれ4分の1ずつ
兄弟姉妹のみ なし
配偶者と子 配偶者と子にそれぞれ2分の1ずつ
配偶者と父母 配偶者に3分の2、父母にそれぞれ6分の1ずつ
配偶者と兄弟姉妹 配偶者に2分の1

 

 

例えば、配偶者と子が相続人の場合は以下のようになります。

 

 

 

 

 

 

4 遺留分減殺請求権の行使及びその時期

被相続人が、贈与や遺贈などによって、自己の財産を処分したとします。相続人は、相続によって、現実に財産を取得します。ここで、相続人の取得した財産の額が、その相続人に認められた遺留分の額に満たない場合があります。このとき、この相続人は、遺留分が侵害されたとして、遺留分減殺請求権を行使できます。これを行使することはこの相続人の自由なので、行使してもしなくても構いません。

遺留分が侵害される例としては、遺贈や贈与、相続分の指定(民法902条)、相続させる旨の遺言などがあります。共同相続人を生命保険の受取人と指定した場合,共同相続人間との間に生じる不公平が是認することができないほど著しいものであれば,民法903条の類推適用により特別受益者の相続分が算定されることになるため(最決H16.10.29民集5871979頁),その指定が遺留分を侵害する行為となる可能性があります。

また、遺留分減殺請求権を行使できるのは、相続が開始したとき及び対象となる贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内です(民法1042条。改正後は1048条)。遺贈や贈与の事実を知っていたとしても相続財産額が不明であれば遺留分が侵害されていることを知らないといえるので,この場合には時効は進行しません。遺留分を侵害しない程度のものと誤信していた場合も同様です。

相続開始から10年を経過したときは,この10年が除斥期間となり,遺留分減殺請求権は消滅します。

 

 

5 行使の相手方

遺留分権利者は、贈与や遺贈を受けた者に対して請求します。このとき必ずしも裁判を起こす必要はありません。内容証明郵便による請求でも大丈夫です。

 

 

6 行使の効果

遺留分を保全するのに必要な範囲で、遺言や贈与の効力を否定することができます。減殺の順序などについては事案によって処理が異なりますので、詳しくは弁護士に相談しましょう。

 

 

7 相続法改正の変更点

平成303月、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が国会に提出され、平成3171日に施行されます(一部施行日が異なります)遺留分制度も変更されます。ここでは、主要な改正点をご説明します。

     まず名称が変わります。「遺留分減殺請求権」から「遺留分侵害額請求権」に変わります。

     遺贈又は贈与に対して遺留分減殺請求権を行使した場合は、相続人と受遺者又は受贈者は、目的物を共有するというのが現行の制度です。しかし、改正制度の下では、遺留分侵害額請求によって、当事者は目的物を共有しません。請求者が、受遺者又は受贈者に対し、侵害分の金銭債権を取得するという制度に変わります。

     請求を受けた受遺者又は受贈者がすぐに金銭を用意できない場合があります。このとき受遺者又は受贈者は、裁判所に対して相当の期限を許与するよう請求することができます。