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相続コラム

遺産分割調停の流れ

1 はじめに

 

 遺産を分ける場合、現金であれば分けやすいのですが,不動産となると誰が所有するのか,代償金はいくらになるのか,不動産の価格はいくらなのかなど揉め事が多くなる傾向にあります。相続人たる当事者のみでは相続人間での話合い(協議)がまとまらず,平行線を辿っていくことが多いため、弁護士が介入して協議を進めることもあります。しかしそれでも折り合いがつかない場合、次に考えられる手段として、裁判所で行われる「遺産分割調停」があります。今回はその「遺産分割調停」がどのように進められていくのかを見ていきたいと思います。

 

 

2 調停を申し立てる裁判所(管轄)

 

  協定を申し立てる裁判所は,原則として「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所」又は「当事者が合意で定める家庭裁判所」となります。例えば,相続人が3人いるとします。そのうち1人が遺産分割調停を申し立てる場合,他方の2人のどちらかの住所地を管轄する家庭裁判所に調停の申立てを行います。調停を申し立てた相続人が「申立人」,申し立てられた相続人が「相手方」となります。申立人が出席しやすい家庭裁判所に申立てを行うのもよいですが,相手方が遺産分割協議に非協力的であることもよくありますので,その場合には相手方のうち非協力的な相続人が出席しやすい(住居から近い)家庭裁判所に申立てを行うのが得策といえます。

  なお,遺産分割審判の管轄は,相続開始地を管轄する家庭裁判所となりますので,調停から審判に移行した場合には移送されることもあります。

 

 

3 調停申立て

 

  申立ての際には、調停申立書に必要事項を記載し,相続人全員が当事者であることが漏れなく分かるように戸籍関係書類を添付します。相続人が,第一順位なのか第二順位なのか第三順位なのかによって提出する戸籍関係書類も異なってきます。

  他にも遺産に関する資料(例:遺産が不動産であれば,原則として申立日より3か月以内に発行された不動産登記簿謄本または不動産登記事項全部証明書原本や最新の固定資産評価証明書原本など)も提出します。その他収入印紙や郵便切手,事情説明書,進行に関する照会回答書なども提出します。裁判所によって提出書類が異なることもあるので,予め申立てを行う家庭裁判所に確認するのも良いでしょう。

 

 

4 期日

 

  申立てが無事に済んで調停期日が指定され,相手方へ申立書の写しが送付された後,1回目の調停期日を迎えます。調停は,裁判官及び家事調停委員をもって組織する調停委員会が行います。実際には,弁護士と他の専門家の2名の家事調停委員により,申立人と相手方それぞれから事情の聴取が行われます。後にこのような解決策はどうですかという調停の勧告も行われます。

  調停は,裁判所が申立人と相手方それぞれから事情を確認するため,当事者から事情を確認している時には相手方は別室で待機しています。同様に相手方から事情を確認している時は,申立人は別室で待機します。大体30分くらいで交代というケースが多いように思います。当事者が複数いるときは,グループ分けを行ったり代表者を選定したりします。

  期日で話し合うことは多岐に渡りますし,どのような紛争があるのかにもよって異なってきます。遺産分割に直接関係のない事項の主張(例えば感情的な対立など)もありますが,そのような話は徐々に峻別され、遺産についてどのように分割するのが適切かということを中心に話し合いが進められます。私が経験した感覚では、1回の期日の所要時間は平均約2時間くらいでしょうか。

  数回の期日を重ね話が煮詰まってくれば,裁判所から具体的な条項案が提示されます。当事者は,その条項案を確認し,内容に問題はないか,条項案を実現できるか(代償金の支払や登記手続など),その他漏れがないか等を検討します。

  全ての当事者が納得すれば調停成立となりますが,そうでなければ調停が不成立となります。調停不成立となれば,審判手続に移行されます。

 

 

5 まとめ

 

  調停のイメージを持ってもらうために,ざっくりと説明しました。実際には遺産分割に関する争点ごとに資料を集めて主張していくことになってきます。何も調べずに事前準備もなく、約2時間漫然と調停に出席して想いを伝えてくるというだけではやはり不十分と言えます。納得できる調停成立を目指すためにきちんと準備をして出席するようにしましょう。