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相続コラム

預貯金の評価

1.預貯金の評価

相続税の評価額の計算上、預貯金については、基本的には相続発生日現在の残高を基に評価します。その際、通帳を記帳して残高を確認しても良いのですが、例えば普通預金以外に定期預金が別の通帳にあるという場合もあるので、各金融機関の支店ごとに残高証明書を発行してもらう方がより確実となります。残高証明書を取得すると、相続人が誰も知らなかった口座が見つかったり、出資金があることが判明したりするようなケースもあります。

 

2.定期預金の評価

定期預金の場合、預入日から相続発生日までの期間の税引後利息も評価に加算する必要があります。これについては上述の残高証明書発行の際に利息額の記載も依頼することで、同書類に記載されてきます。

 

3.直前出金

上述の通り、預貯金の相続税の評価額が(基本的には)相続発生日現在の残高を基準にするということは、被相続人が亡くなる直前に出金をしておけばその分が相続税の課税対象から外れると考えられる方もいます。しかし、直前に出金したものが現金として手元に残っていたり相続人の口座への預け金となっていたりすると、結局は名目が預貯金から現金や預け金に変わるだけで、相続税の課税対象となる金額が変わることはありません。

 

 4.名義預金

被相続人本人の名義ではなく子や孫等の他人名義となっている口座でも、相続税の対象となるケースがあります。代表的な例としては、被相続人が子の名義の口座を開設し、その後もその口座は被相続人が管理を行い、金融機関届出印も被相続人が持っているというケースです。こうなると、口座の名義が被相続人ではなかったとしても、実質的に被相続人の口座と同様になります。これを「名義預金」と言います。相続対策のつもりや、子や孫への想いから、こうした口座を開設して持っておき、少しずつ資金をその口座に移しているケースというのはよくあることです。しかし、これらは被相続人の財産として相続税の課税対象となってしまいますので注意が必要です。

 

5.名義預金とされない方法

名義預金と認定されないようにするためは、いくつかの注意点があります。

・口座の入出金管理を子や孫等の名義人本人が行う

・金融機関届出印も子や孫等の名義人本人が所有する

・通帳やキャッシュカードも子や孫等の名義人本人が所有する

・資金を移す場合は、贈与契約書を作成し、署名押印を行う

1つでも条件を満たしていないと名義預金と認定されるということはありませんが、相続税は実態に基づいた課税が行われますので、こうした点をクリアしていれば、名義預金と認定される可能性は少なくなります。