相続コラム
家屋の評価
1.家屋の評価額
相続税の計算をする場合における家屋の評価額には、原則として固定資産税評価額が用いられます。
固定資産税評価額とは、毎年1月1日時点の評価額を各市町村が決定するものです。その決定された評価額と固定資産税額とを合わせて、各所有者に4月~6月頃に郵送で通知されます。
2.貸家の評価額
貸家の相続税評価額は、原則として家屋の評価額から30%減額した金額となります。
ただし、1つの建物内で複数の居住区分がある場合、例えばマンションやアパートの場合は、単純に家屋の評価額を30%減額するだけではありません。
例えば10室あるアパートを所有しており、そのうち8室は入居者がいるが、2室は空室となっている場合は、減額割合は30%ではなく、30%×8/10=24%となります。
この場合の空室の考え方ですが、1ヶ月以内の空室期間であればそれは空室ではなく入居者がいるものとしてカウントするので、注意が必要です。
3.固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額については、上述のように毎年4月~6月頃に各所有者に郵送で通知されることとなります。ただし、その家屋が共有の場合は、共有者のうちの1名にのみ通知がされ、相続税の計算対象の方に通知されないケースもあります。
こうした場合も含めて、各自治体において固定資産税の評価証明書や公課証明書を取得することで、固定資産税評価額を調べることが可能です。
なお、2つの証明書(評価証明書・公課証明書)の違いですが、単純に言えば、公課証明書の方が記載事項が多くなると考えていただければ良いでしょう。そのため、特にこだわりがなければ、公課証明書を取得する方が良いと考えられます。
4.リフォームを行っていた場合
原則的な家屋の評価は上述の通りですが、例外もあります。
それは、リフォーム等を行ったにも関わらず、その分が固定資産税評価額に反映されていないケースです。
固定資産税評価額は各自治体がそれぞれに評価を行うのですが、屋内に入ってまで調査を行って評価することはほとんどないため、外観が変わっていないようなリフォームの場合は、評価額に反映されないケースが多々あります。
数万円程度の小規模なものは修繕として考えられることもありますが、数百万かけたリフォーム等を行って、その分が固定資産税評価額に反映されていない場合には、その分も含めて家屋の評価額としておかないと、後から税務調査で指摘を受ける可能性があるので注意が必要です。
特に相続が発生する直前にリフォームをしていた場合等は、預金の動きからもリフォーム工事をされたことが判明しやすいため、税務調査での指摘確率は格段に上がります。